私たちが日頃から食べている食品には着色料が使われているものが多くあります。
着色料という言葉を知っていても、その種類や身体に与える可能性がある影響について正しく理解していますか?
自分や大切な人の健康を守るためにも、着色料について理解を深め、適切な食品を選ぶことが大切です。
ここでは、着色料とは何か、その種類や身体への影響について詳しく解説します。
なぜ使われるの?着色料の基本を解説

お店で販売されている食品の多くに着色料が使われていますが、なぜ使う必要があるのでしょうか?
まずは、着色料を使う理由について理解しておきましょう。
文化的な風習を守るため
日本で広く行われている文化的な風習において、着色料が重要な役割を果たしています。
例えば、お祝いの品として贈られることが多い紅白まんじゅう、お雛様のときに食べるひなあられ、おせち料理に入れる栗きんとんなど、お祝い事や行事では色を付けた食品を食べる風習があります。
色鮮やかな食品はお祝い事や行事を華やかに彩り、記憶に残るものにしてくれるのです。
食品の品質維持
着色料には、食品の品質を保つための役割があります。
食品を保存、加工するときは熱や酸化による影響で、食品の変色や退色が起こります。
また、野菜や果物などの食品原料の色は、その成分が栽培される時期や環境によって変化するため、色の変動が大きいことがあります。
食品の変色や退色、原料の色の違いにより、食品の品質が大きく低下してしまう場合があります。
そこで、食品の色調を一定に保つために着色料を使うのです。
食品のイメージをつくるため
見た目のイメージと味を一致させるために着色料を使います。
過去に、オレンジフレーバーのシャーベットを使って、食品とその味を連想させる色について実験が行われました。
シャーベットの色で味を当てるという試食実験において、オレンジ色では正答率が99%だったのに対して、無着色は47%、紫色で21%という結果になりました。
この結果から、見た目のイメージと味が大きく結びついているということが分かります。
色によっては食欲を促す効果があるため、着色料が使われることがあります。
ターメリックで黄色く色づいたカレー、唐辛子を使った赤いキムチなど、色と食品のイメージが固定化されている場合、その色が食欲を促すのです。
合成着色料の種類と影響

合成着色料にはいくつかの種類があります。
合成着色料について理解を深めるためにも、その種類と身体に与える影響について理解しておきましょう。
合成着色料の主な種類
日本で使われている主な合成着色料の種類について紹介します。
アマランス
「赤色2号」と呼ばれている無臭の着色料です。
日本国内ではいちごシロップやゼリー、アイス、飲料などの幅広い食品に使われていますが、アメリカや北欧などの国々では使用が禁止されています。
タートラジン
タール色素の石油から抽出される「黄色4号」とも呼ばれている着色料です。
たくあん、ジュース和菓子など幅広く使われています。
タールはタバコに含まれている成分として聞き馴染みがあるのではないでしょうか。
ブリリアントブルーFCF
石油から精製される物質であり、「青色1号」とも呼ばれています。
清涼飲料水やかき氷のブルーハワイなど、青色の食品に使われています。
ファストグリーンFCF
タール系の色素を使った着色料で「緑色3号」とも呼ばれています。
お菓子や飲料などに使われています。
コチニール色素
カメムシの一種である「カイガラムシ」を乾燥させて抽出した着色料で、世界的に広く使われています。
えんじ色に食品を色付けします。
清涼飲料水やハム、かまぼこなどの食品、口紅やアイシャドーといった化粧品まで幅広く使われています。
合成着色料は身体にどんな影響を与える?
合成着色料が使われている食品を食べることによって、身体に悪影響を与えることが懸念されています。
タール系の色素の中には、病気を引き起こすリスクが高いとされている種類がいくつかあります。
ラットなどの実験でそのリスクが証明された報告もあり、国によっては使用が禁止されています。
また、コチニール色素は、人によってはアレルギー症状を引き起こす可能性が指摘されています。
実際に、コチニール色素を含む化粧品や食品を摂取したことで、かゆみや蕁麻疹、発疹、呼吸困難といったアレルギー症状が報告されているほどです。
合成着色料を食べすぎるとどうなる?
合成着色料の摂取により、様々な健康面へのリスクが高まる恐れがあります。
そもそも合成着色料は化学的に合成されたもので、自然界には存在しない成分です。
そのため、人間の体内で分解されにくく、体内に長時間残ることで健康面でのリスクが高まる恐れがあります。
天然着色料は安全?合成着色料との違いを解説

着色料には人工的に作られた合成着色料と、天然のものから作られた天然着色料があります。
合成着色料は身体への悪影響が指摘されていますが、天然着色料であれば安全なのでしょうか?
ここでは、天然着色料の詳細と安全性、合成着色料との違いについて説明します。
天然着色料と合成着色料の違い
天然着色料は、紅花やクチナシ、ブドウ糖、カラメル色素など、食品や生物から色素を抽出します。
一方で、合成着色料は化学的に合成される人工的な色素のことを指します。
天然色素は合成着色料よりも発色が柔らかめなので、混ぜる食品によっては鮮やかな色というよりもくすんだ色になることがあります。
天然着色料の安全性は?
天然着色料だからといって、必ずしも安全とは限りません。
それは、天然着色料の中にも、化学的処理をしているものがあるからです。
天然成分から色素を安定して抽出するために、多くの化学薬品や溶液を使用しています。
意識して天然着色料を使用している食品を選んでいても、予期せず身体に悪影響となる成分を摂取していることもあるのです。
健康のためにも着色料はできる限り避けよう

私たちが普段食べている食品の多くに、様々な理由で着色料が使われています。
そのため、全ての着色料を避けて、食生活を送ることは難しいのが現状です。
海外では使用が禁止されている着色料もあり、身体への悪影響が心配されています。
また、天然着色料も化学的処理を経ているものが多く、必ずしも安全とは言い切れません。
着色料の影響を少しでも軽減するためにも、できる限り着色料を使っていない食品を選ぶように心がけましょう。
