無添加とは?その定義とルールを理解しよう

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食品やシャンプーといった普段口にするもの、身体に使うものを選ぶときに添加物を気にしませんか。


そのため、添加物が使われていない「無添加」という表記があるものを選ぶ人も多いでしょう。
ところが、無添加と表記されている商品でも安全性に懸念があるものが含まれています
安全にこだわるなら無添加の定義や記載ルールについて詳しく理解することが大切です。
ここでは、無添加について詳しく解説します。安全な食品を選ぶときの参考にしてみましょう。

目次

そもそも無添加とは

無添加=身体に良さそう、安全といった認識が広まっていますが、そもそも無添加の意味を正しく知っている人は少ないですよね。
また、無添加と同じように「オーガニック」のものは安全性が高いと広く認識されています。
食の安全について正しい知識を得るためにも、まずは無添加とは何か、オーガニックとの違いについて正しく理解しておくことが大切です。

無添加の定義とは

無添加と表記のある食品や商品はたくさんありますが、実は無添加の明確な定義はありません。
一般的に、無添加とは化学薬品や添加物が使われていないことを指します。
安全な食品を選ぶなら、食品購入時に原材料名をチェックして添加物の有無を確認することです。

とはいえ、食品添加物が何かを知らなければ、購入しようとしている食品が無添加であるかを判断できないでしょう。
最も簡単に添加物の有無をチェックするポイントは、見慣れない原材料名を確認することです。
例えば、クッキーを作った経験があれば、卵や小麦粉、バターといったように必要な材料をある程度知っていますよね。
それ以外の見慣れない材料が含まれていたら、それが食品添加物である可能性が高いのです。

無添加とオーガニックの違い

オーガニックは有機栽培で生産された農産物や農産加工品のことを意味します。
無添加の定義が曖昧なのに対して、オーガニックには明確な定義があります
有機栽培とは、化学肥料や化学農薬を使わずに有機肥料のみで栽培する農法のことです。
また、オーガニックと名乗るためには農林水産省が定めた条件を満たした商品にだけ与える「有機JAS」認定が必要です。

食品だけでなくコスメやシャンプーといった日用品にもオーガニックや無添加と謳っている商品があります。
参考までに、コスメで使われるオーガニックや無添加の意味は、食品とは微妙に異なることを覚えておきましょう。

無添加食品の問題点

無添加と記載があれば、身体に有害なものは一切使われていないと思っていませんか。
実は、無添加と記載があっても完全な無添加ではないものがあるので注意が必要です。
無添加という記載がされている食品でも、原材料を見てみると、見慣れない原材料が使われていることがあります。
それらは添加物ではなくても化学的に合成されたものや安全性に不安があるものである可能性が高いのです。

添加物は厚生労働省によって定められた成分で、その添加物に該当するものを使っていない場合に、無添加と表記されるケースが非常に多いのです。
そのため、無添加だからといって必ずしも安全とは限りません。
ここでは、食品添加物に指定されていないものの、安全性に懸念のある5つの成分を紹介します。

①酵母エキス

うま味を出す成分としてよく使われていて、うま味調味料を使わずにこの酵母エキスを使っている食品は非常に多くあります。
酵母エキスの原料は、酵母が蓄えているアミノ酸やペプチド、核酸といった成分を抽出して調味料化したものです。
安全性が懸念されるのは、原料とその製造過程が不明だからです。
原料として天然の酵母を使っていることもありますが、日本ではビールの製造過程で発生した残りかすが使用されるケースが多いと言われています。
製造過程においても、塩酸や水酸化ナトリウムを使用して工業的に作られているため、安全性の面で不安が残るのです。

他にも、かつおエキス、チキンエキス、ポークエキス、といった〇〇エキスも同様に健康面への影響が心配されます。
それは、添加物や薬剤を使用している可能性があり、エキスの抽出方法がさまざまだからです。
全てが危険とは言い切れませんが、少なからずリスクはあるので、完全無添加を求めるなら避けるのが無難でしょう。

②加水分解物

うま味成分として使われることが多いたんぱく加水分解物。
これも、原料と製造過程の安全性に懸念があります。
原料のタンパク質は、加工肉の残りかすや大豆油の搾りかすなどが使われていること、強い塩酸を加えて加水分解するため安全性に不安があります。

③マーガリン・ショートニング

無添加と謳っているお菓子やパンに使用されることが多い成分です。
マーガリンは、精製した油脂に発酵乳、食塩、ビタミン類を加えて乳化して煉り合せた加工食品です。
製造過程では水素を付加するなど工業的に作られています。
ショートニングは植物油を原料とし、水素を添加して工業的に作られている成分です。

マーガリンやショートニングの安全性に懸念があるのは、トランス脂肪酸が含まれているからです。
厚生労働省のホームページにも、トランス脂肪酸の過剰摂取によって、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加するリスクが高くなると記載されています。
他にも、肥満やアレルギー疾患の関連も認められていることから、健康のためにも避けておきたい成分です。

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④ブドウ糖果糖液糖

甘みをプラスする成分。
別名異性果糖と呼ばれる甘味料で、ケチャップやソース、ドレッシングといった調味料からお菓子、飲料にも使用されることが多い成分です。
原料はじゃがいもやとうもろこしのでんぷんで、これに水とαアミラーゼという酵素を加えて加熱した後に、グルコアミラーゼという酵素の力でブドウ糖の液を作り、グルコースイソメラーゼという酵素を反応させます。
なぜ、安全性が不安なのかというと、原料のトウモロコシが遺伝子組み換え作物である可能性が高いこと分解された果糖をそのまま吸収することによって異常なほどに血糖値が上昇してしまうからです。

遺伝子組み換え作物は、従来の品種を新たな遺伝子的組み合わせを持つように改良した作物のことです。
しかし、遺伝子組み換え食品の割合が高いアメリカでは、がんや白血病、アレルギーなどの慢性疾患が急増し有害性が懸念されています。
日本では遺伝子組み換え作物の栽培が禁止されていますが、海外から輸入した作物を食品添加物の原料として使用することがあるため、知らずに口にしている可能性は高いでしょう。

コーンスターチやデキストリンも、遺伝子組み換え作物が原料として使用されている可能性が高いため注意が必要です。
コーンスターチはあえて原材料欄に「遺伝子組み換え作物を使用していない」と記載されていますが、添加物を気にする人は避けているケースが多いです。

⑤還元水飴

安全性に懸念がある甘味料の一つ。
還元水飴の製造過程で添加物として指定されているソルビトールが生成されることに注意が必要です。
ソルビトールとは、ブドウ糖を還元してできる糖アルコールのことで甘味料として使用される食品添加物です。
ソルビトールの過剰摂取によりお腹が緩くなったり、腹痛を引き起こしたりするリスクがあることを覚えておきましょう。
ソルビトールは食品添加物に該当しますが、キャリーオーバーと呼ばれる食品表示のルールによって、食品表示に記載されません。

ちなみにキャリーオーバーとは、食品の製造過程で使用されたものでも、最終的な食品までに持ち越されない場合など添加物としての効果を示さないことを意味します。
微量でも摂取し続ければ身体に影響を与えることもあります。

無添加の記載ルールが変わる

これまで曖昧だった無添加の定義でしたが、2022年4月より食品添加物の表示ルールが改正されました。
安全な食品を選ぶためにも、消費者庁の食品添加物の不使用に関するガイドライン制定に至る背景について詳しく解説します。

消費者の誤解を招く表現を避けるため

先ほど紹介したように現行の食品表示や無添加のルールが曖昧だったことから、無添加と謳っている食品の中にも原材料に添加物が使われているケースがありました。
食品を製造するときに原材料や添加物を全て明記するように、食品表示法という法律で定められています。ところが、添加物を使用していないという表示に関するルールは一切なく、各食品メーカーの判断にゆだねられていました。

また、無添加や不使用といった言葉を必要以上に使うことによって、「添加物が使われている食品が危険である」というメッセージを消費者に広めることが懸念されたのです
このように消費者にとってわかりにくく、混乱を招きかねない食品表示を改善するために、今回のガイドライン策定に至りました。

ガイドラインによる食品表示の変更点

ガイドラインの制定により記載がNGとなった主な変更点を紹介します。

エビデンスに基づいた「無添加」「不使用」表示

明確なエビデンスもなく「無添加」や「不使用」と表記するのはNGとなりました
例えば、「着色料不使用」といった表示をするときは、下記に紹介するルールに基づく表示が必要です。

「人工」「天然」の用語を使用した表示

食品表示基準で食品添加物を表示するときは、化学的合成品と天然物に関係なく全て表示することになっています。

食品に使用が禁止されている添加物をあえて「不使用」とする表示

清涼飲料水にはソルビン酸と呼ばれる添加物の使用が禁止されています
ところが、中には「ソルビン酸不使用」と表示している食品や飲料があります。
このような記載は、新しいガイドラインによりNG行為となります。

同一機能、類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

日持ちを向上させるために、保存料以外の添加物を使用した食品に「保存料不使用」と記載する、「○○無添加」と謳っておきながら〇〇と同一機能、類似機能を持つ他の食品添加物を使用している場合の記載が制限されます。

同一機能、類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

「〇〇無添加」と謳っているのに、○○と同一機能、類似機能を有する原材料を使用している食品への表示が制限されます。

健康、安全と関連づける表示

身体に良いことや安全であることの理由として無添加をアピールするといったように、健康や安全と関連づける表示がNGとなります。

健康、安全以外と関連づける表示

例えば、「無添加だから美味しい」、「保存料不使用のため早めにお召し上がりください」といった健康や安全以外と関連づける表示もNGです。

食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

一般的に添加物が不使用な商品にも関わらず「無添加」や「不使用」を表示するのはNGになりました。
例えば、ミネラルウォーターに保存料や着色料の不使用を表示するようなケースが該当します。

加工助剤やキャリーオーバーとして使用されている食品の表示

原材料の一部に添加物が使用されていたり、原材料の製造過程で添加物の不使用が確認できなかったりする食品に「無添加」や「不使用」の表示をすることが制限されます。

過度に強調された表示

商品パッケージの多くの場所に「無添加」「不使用」を表示することや目立つデザインやカラーリングで表示することが禁止されます。

安全な食品を選ぶためにできること

食品表示のルールが変わることで無添加表示に対するルールが厳しくなりました。
しかし、現行では添加物表記の抜け道もあるため、添加物の表示がなくても添加物が使われている可能性があります。
そこで、安全な食品を選ぶためにできることを紹介します。

原材料表示をチェックすること

スーパーで食品を購入するときは、原材料表示をチェックする習慣をつけましょう
原材料表示を確認すれば、その食品に添加物が使われているかどうかをある程度確認できます。
具体的なチェックポイントは、原材料表示で「/」以下を見ることです。
原材料表示において「/」以下に添加物が表示されます。
「/」以下がないものを選ぶことで、添加物が使われていないものを選べる可能性が高くなります。
ただし、「/」以下の記載がなくても、添加物を使用していない証明にはならないため注意が必要です。

自ら正しい知識を得ること

食品添加物に関する本や情報を入手して、自分なりに添加物について学ぶことも大切です。
少しくらいの摂取なら影響は少ないかもしれませんが、継続的に摂取していれば安全とは言い切れません。特に、大人よりも添加物の影響を受けやすい子供は、自分で食べるものを選べません。
親や周囲の大人が安全なものを選ぶためにも、正しい知識を身に付けることが不可欠です。

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正しい情報を得て安全な食品を選ぼう

無添加だからという理由で安全と認識し、食品を選んでいる方が多くいらっしゃいます。
無添加と言われる食品の中には添加物が使われているものが少なくありません。
また、無添加に対するルールが厳しくなることによって、これまで以上に安全な食品を選ぶのが難しくなるかもしれません。
自らが添加物や食品表示に対する正しい知識を得て、安全な食品を選びに役立てましょう

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