食品表示で「遺伝子組み換え食品は使用していません」といった表記を見たことはありませんか。
遺伝子組み換え添加物や食品という言葉を聞いたことはあっても、実際にそれがどのようなものか、食べることで身体にどのような影響があるか知らない人もいるでしょう。
ここでは、遺伝子組み換え食品(添加物)とは何かについて解説します。
安全な食品を選ぶためにも、遺伝子組み換え食品について正しく理解しておきましょう。
遺伝子組み換え食品とは

遺伝子組み換え食品とは、遺伝子組み換え技術によってつくられた食品もしくは添加物のことです。Genetically Modified Organismの頭文字をとってGMOと呼ばれることもあります。
遺伝子組み換え技術は、他の食品から有用な遺伝子だけを取り出して人工的に組み込んだり、遺伝子の塩基配列を人工的に改変したりして、改良したい作物などに新しい性質を持たせる技術のことです。
遺伝子組み換え食品をつくる目的
遺伝子組み換え食品をつくる目的は、より良い品種をつくることです。
人間はより優れた品種をつくりだすために、古くからかけ合わせや品種改良を繰り返してきました。
例えば、より良い品種をつくるために、味の良い品種と病気に強い品種をかけ合わせるといった改良を重ねてきました。
しかし、この方法では同じ種類の植物や近い種類の植物同士でなければ交配が難しく、時間も長くかかるのがデメリットだったのです。
その点、遺伝子組み換え技術では、付加したい性質を持つ遺伝子を作物の遺伝子に組み込めるようになりました。
また、種類を問わず別の生物からの有用な遺伝子も組み込めるようになったため、品種改良の時間と手間が大幅に短縮されたのです。
遺伝子組み換え食品の開発と栽培国
遺伝子組み換え食品が開発されたのは1970年代です。
1980年代に遺伝子組み換え技術に関連する国際的なガイドラインが設けられました。
2012年には、米国、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、インド、中国、パラグアイ、南アフリカ、パキスタンを含む28カ国で遺伝子組み換え食品の栽培が始められました。
世界的な人口増加や耕地の砂漠化などの影響から、栽培国の数は増加傾向にあります。
遺伝子組み換え食品の事例
遺伝子組み換え食品は、日本国内でも流通しています。
とうもろこし、大豆、なたねなどの9つの食品と71種類の添加物の使用が日本で認められています。
α-アミラーゼ、リパーゼ、プルナラーゼなどの遺伝子組み換え添加物は、遺伝子組み換え微生物を使ってつくられています。
遺伝子組み換え食品の安全性について

遺伝子組み換え食品は人工的につくられていることから、その安全性が気になるでしょう。ここでは、遺伝子組み換え食品の安全性について解説します。
遺伝子組み換え食品は安全なのか
そもそも、遺伝子組み換え食品は安全なのでしょうか。
遺伝子組み換え技術は、環境問題や食糧問題の解決に重要な役割を果たす技術の1つであり、今後も活用される可能性が高いため、その安全性をしっかり理解しておきましょう。
現在、内閣府食品安全委員会において、遺伝子組み換え技術でつくられた食品を承認するにあたり、厳格な安全性評価を実施しています。
また、遺伝子組み換え食品を購入する消費者に、必要な情報が提供されるように、食品に使用する際の表示基準を定めています。
食品メーカーの多くが、国が定める安全基準に従って、遺伝子組み換え食品を使用することを心がけています。
遺伝子組み換え食品に関連する法律
日本国内では食品の安全性を確保するためにいくつかの法律が制定されています。
遺伝子組み換え食品の安全性に関して基本となるのが、平成12年1月に、遺伝子組換え生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することを目的として、国連で採択された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」です。
この議定書を日本国内で実施するために平成15年6月に公布されたものが「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」です。
さらに、食品の安全確保のための法律として、食品衛生法と食品安全基本法があります。これらの法律に従って、安全性が確認された遺伝子組み換え食品だけが国内で流通しています。
安全性が確認されていない遺伝子組み換え食品が国内で流通しないように、平成13年4月より安全性審査が義務化されました。
それに伴い食品安全委員会で審査を受けていない遺伝子組み換え食品の輸入や販売が禁止されています。
安全性に関連する審査を経た遺伝子組み換え食品の最新リストが厚生労働省のウェブサイトに掲載されています。安全な食品を選ぶための参考となるかもしれませんので、チェックしてみましょう。
添加物の少ない食生活を心がけよう

遺伝子組み換え技術はさまざまな種類の生物から有用な遺伝子だけを取り出して、別の生物の遺伝子に人工的に組み込むことで、より良い品種をつくるための技術です。
これらの技術を活用してつくられた遺伝子組み換え食品は、安全性が確認されたものだけが日本国内で流通しています。
しかし、その安全性について不確かな部分も多いのが現状です。
私たちが日頃食べている食品の多くに添加物が使われています。
添加物を多くとることで身体に与える影響が懸念されるため、遺伝子組み換え食品も含めて、できる限り添加物の少ない食生活を心がけましょう。

