国産とは?安全な食品を選ぶために知っておきたいこと

  • URLをコピーしました!

食品を選ぶときに国産か外国産かをチェックしたことはありませんか。
実際に、食品を購入するときに「国産」や「国内製造」と表示されているものを積極的に選んでいる人も多いでしょう。
何気なく選んでいる国産や国内製造の食品ですが、それぞれの定義や違いをご存知でしょうか。
実は、国産という表記があっても外国産の原料が使われていることがあるのです。
ここでは、国産とは何か、国内製造との違いについて詳しく解説します。
安全な食品を選ぶときの参考にしてみてください。

目次

食品表示法の改正

食品の表示について定める食品表示基準が平成29年に改正されました。
それに伴い、全ての加工食品について原料原産地表示が義務付けられることになりました。
国産と国内製造について正しく理解する前に、食品表示の変更点についてしっかりと把握しておきましょう。

改正のポイント

法律の改正に伴う従来の食品表示からの変更点について解説します。

表示義務付けの対象

国内で製造もしくは加工された全ての加工食品において、原料原産地を表示することが義務化されました。

対象原材料

製品に占める重量割合上位1位の原材料が表示義務の対象となります。

表示方法

対象となる原材料の産地について国別に重量割合の高いものから順番に国名を表示する「国別重量表示」を原則とします。
対象となる原料が中間加工原材料の場合、原則として製造地を表示します。
原産国が3カ国以上ある場合は、改正前の表示方法と同様に重量割合の高いものから順番に国名を表示し、3カ国目以降はその他と表示できます。
国別での重量表示が困難な場合は、一定の条件を満たせば「又は表示」「大括り表示」が認められます。

新しい表示方法

法律改正に伴って新しくなった表示方法について解説します。

国別重量順表示

原料原産地表示をしなくてはいけない原材料は、製品に占める重量の割合が最も高いものです。

製造地表示

対象原料が加工食品(中間加工原材料)である場合に、原則としてその製造地を「〇〇製造」と表示する方法です。
加工食品(中間加工原材料)である対象原材料の産地が、生鮮原材料の状態まで遡って判明しているときは、「〇〇製造」という表示に加えて該当する精製原材料名と共にその原産地を表示できます。
製造地表示についても、一定の条件を満たせば「又は表示」「大括り表示」「大括り表示+又は表示」が認められます。

国産と国内製造の意味

国産や国内製造という表記があると安心して食べられるものと認識しがちですが、必ずしも安全とは言い切れません。
また、国産と国内製造のそれぞれの意味を理解することで、正しく食品表示を読み取りましょう。

国産とは

国産とは、原材料が生鮮食品である場合に表示され、その産地が国産という意味です。
国産という表記がある食品は、100%国内で栽培、収穫された原料を使っているという意味ではありません。
それは、大括り表示が認められているからです。
小麦を例に挙げると「国産小麦100%使用」という表記があれば、国内で栽培された小麦だけを原料として使っているという意味です。
しかし、「国産またはアメリカ産」といったように日本以外の国名が記載されている場合は、以下の3つのパターンが想定されます。

・国産小麦100%
・国産とアメリカ産の混合
・アメリカ産100%

このように、「国産」という表記があるにも関わらず国内産の小麦が全く使われていない可能性があるのです。
国産という表記だけを見て、全て国内で製造された原料を使っていると認識するのは危険です。

国内製造とは

国内製造とは、原材料が加工食品(中間加工原材料)である場合に表示され、その加工食品が国内で製造されたという意味です。
国産のように安全性が高いと認識されやすい国内製造ですが、必ずしも国産の原材料が使われているという意味ではありません。
原材料表示をチェックしてみると、原材料の横に( )書きで材料の産地が書かれています。
原材料を表示するときは、使用量や配合割合が高いものの順に表記するのが一般的です。

「原材料:うるち米(米国、国内産)」という表記を例にとると、米国産のうるち米が多く使われているという意味です。
この順序が入れ替わっていれば、国内産原料の使用割合が高いということです。
他にも、「うるち米(国産又はアメリカ)」といった表記がされるケースもあります。

ところが、使用している原料の産地が増えてしまった場合、全ての産地を表示していません。
原料の産地が3カ国以上あるときはまとめて表示されるケースが多く見られます。
インスタントコーヒーの食品表示を例にすると「コーヒー豆(ブラジル又はベトナム又はその他)といったように詳細な原産地が記載されていません。

さらに、全て外国産の原料を使った場合は、「麦芽(外国製造)」と外国という言葉でひとくくりにされることもあります。
国内製造では、原産国を一つしか名乗らなくてもルール上問題ありません。
そのため、日本と例えば中国といった外国で製造された商品であっても、日本で作られたかのように表示できる点に注意が必要です。

国産と外国産の違いは

安全性を考慮して食品を選ぶときに、外国産ではなく国産を選ぶ理由は健康へのリスクを心配するからでしょう。
ここでは、小麦を例に挙げて国産と外国産の原材料の違いについて解説します。

小麦は原材料を輸入し国内製造が原則

パンや麺類、お菓子など多様な食品に使われている小麦のほとんどが外国産です。
小麦の自給率は12%程度とかなり低く、大半を輸入に頼っているのが現状です。
しかし、小麦の食品表示を見てみると「小麦粉(国内製造)」と書かれている商品が大半を占めています。
日本で販売されている小麦は、粒を輸入して国内工場で製粉しています。
それは、粉にして加工すると日持ちせず、害虫や湿気による品質低下が起こりやすくなるからです。
国内製造という表記があっても決して国産小麦を使っているわけではありません。
「国産小麦粉使用」という表記がない限り、外国産の原料が使われていると思っていいでしょう。

外国産を懸念する理由

日本で流通している食品の多くが外国産の原料を使っていますが、特に小麦は原材料のほとんどを外国産に頼っています。
しかし、小麦を含めて安全性の面から外国産に不安を感じる人が少なくありません。

その主な理由が2つあります。

農薬のリスク

アメリカで栽培された小麦は、日本で禁止されているポストハーベストを採用しておりそのリスクが懸念されています。
ポストハーベストとは、遠方へ農作物を輸出するときに、カビや虫を防ぐために、収穫(ハーベスト)後(ポスト)に農薬を処理する方法のことです。
収穫前に虫や病気のリスクを低くするために農薬を使うのはそれほど珍しいことではありません。
収穫前であれば雨が降ったり水をまいたりしたときに、多少は農薬が薄まる可能性があります。
しかし、収穫後に農薬処理をすれば農薬が薄まることなく原材料に付着したまま輸入されます。
他にも、国産小麦からは検出されない「グリホサート」と呼ばれる成分が、輸入小麦からつくられた食品から検出されていることにも注意が必要です。
実は、このグリホサートという成分は、アメリカで健康被害による訴訟が起こり多額の賠償金が支払われている、健康リスクの高い成分なのです。
しかし、日本に輸出されている小麦にはグリホサートが使われています。
このように、国によって農薬や添加物の規制が異なります。
人間の健康に被害を及ぼす恐れがある成分が使われているかもしれないため、国産の方が安心して食べられる可能性が高いでしょう。

遺伝子組み換え食品のリスク

遺伝子組み換え食品のリスクが懸念されていますが、今のところ流通している可能性は低いと言えます。
日本では遺伝子組み換え食品の栽培が禁止されています。
他国でも同様に積極的な栽培が推奨されていないため、今のところ輸入した食品から遺伝子組み換え食品を摂取する可能性は低いと言えます。

安全性の高い食品を選ぶポイント

食べる頻度が高い食品は、できるだけ安全なものを選びたいと考えるでしょう。
先に説明したように、「国産」や「国内製造」という表示だけで安全であると判断するのは危険です。
ここでは、主食として食べる機会が多い小麦を例に、安全性の高い食品を選ぶコツを紹介します。

可能な限り国産を

外国産が危険なら国産原料の小麦を選びたいところですが、日本では土地も狭く輸送コストもかかることから、国産小麦は輸入小麦よりも価格が割高です。
コストの面から考えると、頻繁に食べるのは難しいかもしれません。

輸入国が限られているものを選ぶ

外国産でも産地によっては健康へのリスクが低い小麦である可能性が高いため、輸入国で選ぶのも手段の一つです。
流通量と安全性の観点から考えると、オーストラリア産の小麦がおすすめです。

輸入されている小麦の残留農薬を調べたところ、アメリカ産が95%、カナダ産が100%の検出率だったのに対し、オーストラリア産は12%、フランス産が6%という結果が出ています。

全粒粉よりも精製されたものを選ぶ

ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養を含むことから全粒粉のパンを選ぶ人も多いでしょう。
確かに全粒粉の小麦には栄養がたっぷりと詰まっていますが、小麦については精製されたものを選ぶことをおすすめします。
先ほど紹介したように、輸入された小麦は収穫後に農薬処理されています。
小麦の皮を剥がさない全粒粉では、精製された小麦粉よりも多くの農薬を摂取するリスクが高いからです。

米粉を使用する

小麦からではなくお米から作られた米粉を小麦粉の代わりに使うのもおすすめです。
日本国内で流通しているお米は、ほぼ全て国産です。
お米に限って言えば食料自給率は100%で、輸入に頼る必要はありません。
収穫後に農薬処理することもないため、輸入小麦よりも安全性が高いと言えます。
また、米粉は小麦アレルギーを引き起こす原因となり得るグルテンを含んでいません。米粉を使えば、小麦アレルギーがあっても食べられるものが増えるのもメリットの一つです。

国産と国内製造の違いを理解し適切な見極めを

国産は生鮮原材料、国内製造は加工品に使用します。
また、国産や国内製造という表記があったとしても、全て国産の原料が使われているとは限りません。
安全な食品を選ぶためにも、国産と国内製造の違いを正しく理解し、適切に見極める必要があります。

あわせて読みたい
世界と日本の食品表示ルールの違い 健康に気を配っている人、自分や家族にアレルギーがある人は、食品を購入するときに食品表示をチェックするでしょう。食品表示は決められたルールに従って表記されてい...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次